吉野 真人先生
医師
蒲田よしのクリニック院長
ワクチン後遺症研究会 代表
前回までのコラムでは、新型コロナワクチン接種後の多彩な症状(ワクチン後遺症)の主要病態である血栓傾向、免疫異常、酸化ストレス、神経障害などを改善させるために重要な栄養素、豊富に含まれる食材、具体的な料理法などについて説明しました。
【バックナンバー】ワクチン後遺症におけるセルフケア参照
https://vmed.jp/5004/
前回のコラムセルフケア『各論5』では、日常的な食生活で陥りやすい盲点と、それを克服するための様々な工夫、それに日々の食卓をさらに豊かなものにする生活上の工夫について説明しましたが、今回のコラム『各論6」ではさらに掘り下げて説明いたします。
【バックナンバー】ワクチン後遺症におけるセルフケア参照
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体調を維持、向上させ、病気を予防するために大切な食材は様々ありますが、最も大切な食材の一つは何といっても「野菜」です。野菜には各種のビタミンやミネラル、抗酸化成分、食物繊維が豊富であり、多くの種類の野菜を毎日しっかりと摂取したいものです。
問題は野菜の「残留農薬」です。ネオニコチノイド系に代表される農薬は、日常的に多量に摂取する事により各種の健康障害を招きかねません。できるだけ無農薬、減農薬の有機野菜を選びたいものですが、農薬などの有害物質を解毒する力を養うことも望まれます。
農薬を含む有害物質を解毒するには、抗酸化力の強い食材を意識的に摂取する事が有用です。ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド、各種ポリフェノールなどの栄養素が多い野菜、例えばブロッコリーやピーマン、パセリ、緑茶などの食材を積極的に摂取しましょう。
すなわち野菜に付着している農薬を排出するのも、野菜自身の栄養素なのです。農薬が付着しているか否かに関わらず、我々にとって野菜をしっかり食べることが大切です。もっとも、最近は嬉しいことに、無農薬や減農薬の野菜も出回るようになってきました。
その中でも特に注目すべきは「BLOF(ブロフ)農法」です。BLOF農法ではアミノ酸やミネラル、微生物などから構成される肥料を活用し、各種のビタミンや抗酸化成分の豊富な野菜を栽培しています。害虫に食われにくいため、結果的に無農薬となっているのです。
BLOF農法では専門家による指導が行なわれ、取り組む農家が着実に増えており、一般の店舗にも野菜が出回り始めています。無農薬で美味しく栄養豊富、しかも病害虫や風水害にも強く、収量が安定しているため、健康にも農家の経営にも優しい農法といえます。
野菜には多くの種類があり、含有する栄養素の特徴も様々ですが、大きく葉物野菜と根菜類に分かれます。両者をバランスよく摂りたいものですが、全体的に色の濃い「緑黄色野菜」に各種ビタミンやミネラル、抗酸化成分などが、より豊富に含まれる傾向があります。
その中で注意が必要なものの一つにホウレン草があります。ホウレン草はベータカロチンやビタミンCなどの栄養素が豊富ですが、シュウ酸という「アク」の成分があり、日常的に摂取すると尿路結石などの原因となりうるため、適切にアク抜きをする必要があります。
お湯を沸騰させて塩を適量入れ、先ず根元を30秒ほど加熱し、次いで葉先まで入れて30秒ゆでます。続いて冷水に1~2分ほど浸すとアクが効率よく抜けて、栄養素のロスも少なく済みます。根元の赤い部分にはマンガンや鉄が豊富なので、捨てずに使います。
野菜類と並んで欠かさず摂りたいのが各種「魚介類」です。魚種により差異はありますが、良質なタンパク質と並んでEPA(エイコサペンタエン酸)およびDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれ、炎症の抑制や血流の改善、神経機能の向上などに寄与します。
なお魚介類には大別して「天然魚」と「養殖魚」とがあり、栄養価や味わいは総じて天然魚の方が優れている傾向があります。天然魚は海域や旬の時期などに制約がありますが、可能ならば天然ものを選ぶようにして、その他は養殖もので補うようにしましょう。
但し天然ものではアニサキスなどの「寄生虫」に注意が必要です。天然のイカや鮭などにはアニサキスが寄生しており、水揚げから時間が経つと内臓から可食部分に移動してきます。生のイカなどを食べた後にアニサキスによって腹痛を起こす事例が少なくありません。
アニサキスなどによる被害を防ぐには、70℃以上で1分以上かけ加熱するか、またはマイナス20℃以下で24時間以上かけ冷凍する事が有効です。イカを生食する場合は、イカそうめんにするか、またはイカの表面に細かく包丁を入れる事が有効とされています。
ちなみに魚類は鮮度が大切であり、調理も面倒な要素があるため敬遠されがちでもあり、蒲鉾やチクワなどの加工品を活用する方も少なくありません。これらは簡単に調理できて便利ではありますが、含まれる保存料や着色料など各種添加物には注意が必要です。
要注意な添加物の一つに亜硝酸ナトリウムがあります。これはタラコや明太子などの発色剤として使われます。タラコや明太子はご飯のおかずなどとして人気がありますが、色よく見せるために、こうした発色剤や赤色102号などの着色料が使用されているのです。
亜硝酸ナトリウムなどの有害性については賛否両論がありますが、頻回に多量に摂取する事による発ガン性などが問題視されています。市場には着色料不使用の商品が出回るようになっており、よく探す必要はありますが、一部に「無添加」の商品も存在しています。
魚と並んで大切なタンパク源である「肉」については、コレステロールや飽和脂肪酸などが賛否両論となっています。コレステロールに関しては、アンコウの肝やエビなど一部の魚介類にも豊富であり、「コレステロールは控えましょう」などという見解も少なくありません。
ただコレステロールも飽和脂肪酸も、人体にとって必要かつ有用な脂質です。例えばコレステロールは女性ホルモンなどの原料となります。欧米人に比べて肉の摂取量が少ない日本人にとって、適量の肉を食べるのは悪いことではなく、むしろ有意義な食習慣といえます。
例えばフィンランドに於ける大規模な研究ですが、肉を減らして植物油の摂取量を増やしたグループでは、対照のグループに比べて、当初の予想とは逆に心臓病などによる死亡者が異常に多発し、研究は途中で中止となりました。同様の研究は枚挙に暇がありません。
そのような知見に基づけば、肉はあまり過剰にならない限り、タンパク源であると同時に重要な脂質源でもあります。もちろんコレステロールが酸化すると危険な過酸化脂質になることから、抗酸化力の強い各種の野菜をたくさん食べることが前提となります。
なお肉の加熱については、動物の種類による差異があります。豚と羊、鶏の肉はサルモネラやカンピロバクターなどの各種細菌が潜んでいることから、しっかりと加熱する必要があります。これらの肉を生焼けの状態で摂取して食中毒となる事例が後を絶ちません。
これに対して牛肉にはこれらの細菌が殆んど存在しません。豚などと同様、腸管内には多数の細菌が存在しますが、牛肉の場合は可食部である筋肉には移動して来ないのです。そのため良質な牛肉は生焼けの状態、いわゆる「レア」で食べることが可能となります。
もっと衛生的なのが馬肉です。馬の肉には牛よりさらに細菌が少なく、また日本の場合は衛生的な食肉工場で処理され、主として冷凍の状態で流通するため、良質な馬肉は「生食」が可能となっています。馬肉は低カロリーかつ高タンパクであり、ヘルシーな肉といえます。
一方で、ハム・ソーセージなど加工肉については一定の注意が必要です。タラコや明太子などと同じく、多くの加工肉には亜硝酸ナトリウムなど各種の添加物が使われています。摂取量によっては発ガン性の心配が生じますので、食べ過ぎは控えた方が無難です。
肉と同様にタンパク質とコレステロールが豊富な「卵(鶏卵)」は、比較的安価に入手できて調理法も簡単なため、ぜひ積極的に摂りたい食材です。日本の場合、新鮮な卵は生食すなわち「生たまご」として摂取する事も可能であり、調理のバリエーションも豊富です。
ただし加熱の程度によって、消化しやすさが違ってきます、最も消化が良いのは「半熟」であり、「固ゆで」と「生」は残念ながら消化が半熟ほど良くありません。好みや胃腸の具合にもよりますが、可能ならば半熟を選び、固ゆでや生は過剰にならないようにしましょう。
生卵はもう一つ注意点があります。生卵をかき混ぜる際に卵白と卵黄が混じり合いますが、その時アビジンという成分がビオチンというビタミンと固く結びつき、ビオチンの吸収が阻害されます。そのため生食の場合は、卵白と卵黄を分けて摂取する方が無難です。
例えば「卵かけご飯」にする場合、卵黄のみご飯と混ぜ、いわば「卵黄かけご飯」にします。もう一方の卵白は、別の用途に使用します。あるいは生卵ではなく、消化の良い半熟に近い状態にしてご飯と混ぜる、という方法もあります。いわば「半熟卵かけご飯」です。
植物性のタンパク源として重要な食材が「大豆」です。大豆は米や麦、トウモロコシなどに比べて糖質が少なくタンパク質が豊富です。そのため事情があって動物性食品を食べない方の場合、大豆製品がたいへん重要なタンパク源という位置付けとなっています。
大豆製品としては豆腐、豆乳、納豆のほか、味噌や醤油など調味料の原料としても幅広く活用されています。納豆や味噌など大豆製品の多くは発酵されており、発酵食品としての側面もあります。日本人の健康を維持してきたのは、一つにはこうした食品群なのです。
大豆には良質なタンパク質の他に有効成分が幾つも含まれていますが、その代表格はイソフラボンです。イソフラボンは女性ホルモンに共通する作用があり、女性の更年期障害に特有のホットフラッシュなどの症状を緩和し、骨粗鬆症を予防する効果が知られています。
大豆製品では一つ注意点があります。それは発酵していない大豆製品がミネラルの腸からの吸収を阻害する可能性です。例えば煮豆のような形で大豆を多量に摂取すると、亜鉛やマグネシウムなど各種ミネラルの吸収を阻害する可能性があるので、注意が必要です。
次に「乳製品」について考えてみます。牛乳はカゼインタンパクが「遅発型アレルギー」を誘発しやすいことから、できるだけ控えるべき食材とされています。そのため牛乳を発酵させて製造したヨーグルトやチーズについても、体質によっては控えた方が良いでしょう。
ただ発酵食品は腸内環境を整えるなど様々な健康増進の効果があることから、体質にもよりますが、過剰にならない程度ならヨーグルト等を摂取しても構いません。発酵食品はヌカ漬けやキムチ、納豆などを主体として、ヨーグルトやチーズは補足的に摂取しましょう。
牛乳と並んで遅発型アレルギーを誘発しやすい食材が、パンや麺類などの材料となる「小麦」です。小麦のグルテンタンパクがカゼインタンパクと同様に小腸粘膜を傷害し、栄養素の漏出およびアレルギー反応を招きます。これを「リーキーガット症候群」と呼んでいます。
実際に小麦製品や乳製品を控えたところ、次第に倦怠感や不眠など様々な体調不良が軽減した、という事例は枚挙に暇がありません。欧米を中心に小麦や乳製品を含まない「グルテンフリー」や「カゼインフリー」の食品が普及しており、日本にも拡がってきています。
そのような事情から、主食は「米(ご飯)」を主体とし、麺類は「蕎麦(そば)」を主体とする食生活が望まれます。米は可能ならば白米より玄米を優先し、蕎麦はできるだけ小麦粉の含有量が少ない十割蕎麦または八割蕎麦を選べば、なお健康的といえそうです。( ニュースレターVol.47より)
ワクチン後遺症研究会
代表 吉野 真人
うつゼロドットコム~うつと栄養素の関係についてお伝えする吉野先生の動画https://www.youtube.com/@user-qt3ll4qk7i/featured