身体を整え、免疫を上げる:セルフケアを始める前に

この記事を書いた人

さとこ先生 

医師・医学博士

アメリカでの研究員時代に、住民が高額な医療費で苦労しているのを知り、未病の状態でのセルフケアの必要性に気付く。健康ネタの本や医療記事を読むのが好き。現在は臨床医。
「自分の家族と思って患者さんを診る」がモットー。

☆追記 New!
当会発行ニュースレターVol.45への寄稿文
情報コントロールに立ち向かおう!〜類まれな日本人の知性〜

全国有志医師の会のホームページは、根拠をもとにしたワクチンや新型コロナの情報を発信していますが、健康法などセルフケアについては科学的根拠が明らかになっていないけど、昔から良いと言われていることが多々あります。

そこで、ここでは科学的根拠を少しゆるめ、私の目線で集めた有益と思われる情報を載せていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【セルフケアを始める前に気をつけること】
目次の項目をクリックすると詳しい説明が表示されます。

体調の改善を目的にセルフケアを実践する方へ

 まずは、セルフケア方法について説明する前に、どのように自分の身体と向き合い、健康情報を取り入れ、評価すれば良いかをお伝えします。

自分の身体と向き合う

① あなたが主治医です

セルフケアでは、効果を判定するのは自分自身です。

つまり、あなた自身があなたの主治医なのです。

冷静に観察・分析できる主治医ほど、良い方向に導いていきます。自分の身体についてよく考え、良いと思うものを選択し、その結果を分析しましょう。

② 身体について勉強しよう

患者さんと話していると、皆さんのボディイメージは、まるでブラックボックスです。
体の表面、口の中とおしりの穴(失礼!)の感じはわかるけど、それ以外の身体のイメージがぼんやりしているためか、身体の中でいつもと違う症状が起こると、不安やストレスが強くなりがちです。

多くの人が、自分の身体をブラックボックスに感じてしまうには理由があります。それは身体については、中学校で教わるだけだから。

健康が人生の幸福度にとても影響するにも関わらず、私たちは、自分の身体の中や、健康を保つ知識をほとんど持たない状態で大人になり、そのことを意識せずに生活しているのです。

身体について知ることは、人生に安心を与えます。

③ 自分の身体の反応を観察し記録する

日ごろの自分の身体の状態を観察してなかったら、良くなったのか悪くなったのかが分からないし、副作用が出ていても気づけないかもしれません。

身体の声を聞けるのは、自分だけ。

セルフケアを始めるのなら、ちょっとしたメモでも良いので、自分の状態を記録しましょう。

④ 心の在り方は身体に大きな影響を与える

心の在り方が健康に影響を与えるのはよく知られています。

以前、手の施しようがない末期がんの診断を受け、家に返されたにも関わらず生き残った、癌サバイバーの人たちについて調べた本を読みました。彼らに共通していた生活習慣がいくつかありましたが、そのうちの1つが心の在り方でした。

 一言で言えば、「心を穏やかに保つ」

彼らは病気や死に対して不安になり過ぎず、ガンに対して怒らず、ガン撲滅への戦闘モードにもなっていませんでした。ガンサバイバーの人たちは、瞑想を取り入れるなど、心を穏やかでニュートラルな状態に保って過ごしていました。心の在り方が、ガンをも抑えるほどの免疫アップに貢献した可能性が大いにあります。

反対に「なんとしてでも」のような強い思いが、本来身体が持っている治癒力のじゃまをする可能性もあるのです。

 あくまで私個人の感想ですが、病院でも患者さんが、治療の結果に期待も悲観も、し過ぎない状態の時が安定して治癒の方向(バランスがとれた方向)に、向かいやすいように思えます。

健康法(セルフケア法)の選び方

① 情報があふれているときこそ冷静さが大切

現代はネットで調べれば、いろいろな健康情報が出てきますので、それらの情報を自分の責任で選び取らねばなりません。多くの情報の中から、自分の症状や目的に合いそうなものを見つけ、生活に取り入れていきましょう。

注意点としては、人間は不安になると冷静な判断ができなくなりがちということ。
不安を感じた時こそ冷静に選択してください。

焦った時は、あれもこれもと手を出さず、まずは自分に一番必要なものは何だろうと自問自答をしてみましょう。

② どんなに効果があっても、利益にならないことは埋もれていく

スウェーデンのカロリンスカ大学の研究だったと思いますが、認知症の患者さんの記憶に関係する脳の萎縮部分を回復させたのは、運動だけでした。運動以外、薬やサプリ、脳トレでこれほどの効果を出したものは無かったと思います。

他にも運動の様々な効果が証明されているのに、マスコミやネットには、サプリや健康食品、健康器具などの情報があふれています。利益を生むために多額の宣伝費が使われるからです。

記憶に関するエビデンスレベルでは、運動がぶっちぎりの1位なんですけどね。

どんなに効果が証明された方法でも、企業利益を生まないものは、情報の海に沈んでいって魅力が無いように映ります古くから伝わるありきたりな健康法に、先人の知恵が詰まっていることもあるのです。

③ 何事にもリスクとベネフィットがある。リスクに用心する

すべての物、事に、リスク(危険要因)とベネフィット(有益)があります。

どの薬も食べ物もそうです。リスクを恐れて何もしないのも、リスクを軽く見すぎるのも問題です。

リスクが高いものを取り入れる時は、注意深く観察しながら少しずつ始めてください。
リスクは人によって違うので、「隣のおばちゃんが大丈夫だったから、私も大丈夫」ということにはなりません。

④ 「リスクが無いものは無い!」のなら、何を選んだらいい?

目安は、もし不幸にもリスクが起こった時に、対処方法があり、回復できるかどうかです。

止めたらすぐに回復し始めるものなら、それほど問題ありません。

他の薬や治療で改善できる時もまだ大丈夫。

最も避けるべきなのは、リスクが生じてしまった時に、対処方法が無いもの

新型コロナワクチンのリスクは、「アナフィラキシー以外、何が起こるか分からないし、起こった時に対処する方法も誰にも分からない。体内に入ったワクチンを洗い流す方法もない。」です。
ワクチンを打たなかった人らは、ワクチン接種がこのリスクを越えるほど有益とは思えなかったので止めたのでした。

⑤ 専門家の意見に頼り過ぎない

 これはコロナワクチンの時に分かったことですが、専門家の多くは、立場上のしがらみがあり、自由に真実や意見を発言できません。詳細は、またの機会に。

⑥ 迷った時は決断しない

「迷う」というのは、決断できるほど情報を集めていないと考えましょう。

大切な身体を一か八かの賭けにさらすのは、お勧めしません。

⑦ 忘れないで!「過ぎたるは及ばざるがごとし」

薬をはじめサプリも健康法も多すぎると、毒や害になります。

せっかちな方に多いのですが、多ければ多いほど良いと考える人がいます。

人間の身体は、「過ぎたるは及ばざるがごとし」の代表です。

そのことを決して忘れないようにしてください。

選択の後

ここでは、セルフケアを始めた後に注意することをお伝えします。

① 判断基準を決め、経過をメモする

セルフケアでは、病院のように検査はできません。自分の症状や状態に合わせて、自分に合っているかどうかを判断していきます。

判断するための項目としては

何らかの症状改善のためなら、その症状が軽くなっているかどうか

他に、身体の動きやすさや倦怠感の有無、気力、気分、食欲、睡眠、排泄etc

自分が感じやすい症状でも良いでしょう。

ケアは、長期に経過を見るものなので、以前の状態を忘れてしまいます。自分の基準で判断した内容を、簡単なメモでも良いので記録することをお勧めします。

② 人は多様な生き物。効果はそれぞれ

医者をしていると、人って本当に多様な生き物だなぁと感じることがよくあります。

病気の程度が同じであっても、治り方が違うことはよくあるし、薬の効果も人それぞれです。

これはセルフケアも同じ。同じセルフケアでも、効果がある人と無い人がいます

多くの人に効果があったセルフケアで良くならなかったとしても、過度に落ち込む必要はありません。
医療現場では、よくあることです。

③ 改善は波の形で右肩上がり

何らかのケアをして最初はすぐに効果を感じたのに、継続すると効果が落ちて悪化してしまい、落胆することがあります。この現象を効果が無いと判断して、ケアを止めてしまうのは急ぎすぎ。

身体が一直線で変わっていくイメージを持っているから、落胆したり、誤解してしまうのでしょう。

人の身体は、揺れ動きながら変化します。良くなる時も、良くなったり、悪くなったりする小さな波を描きつつ、全体に右肩上がりで良くなっていくイメージです。

短期的には副作用に注意しつつ、長期的(月単位)に身体の調子が上がっていっているかどうかで効果を判断しましょう。

慢性の症状なら「1か月前(または3か月前)の自分と比べてどうか」を目安にすると良いでしょう。

④ 自分の身体を信じ、どんな状態であってもいつくしむ

あなたの身体は、あなたに嫌な思いをさせようとしている敵ではありません。
あなたの仲間であり、味方なのです。
一生懸命、何とかしようとしている存在だと思って、どんな状態であっても、いつくしんでください。

*余談1*
タバコを吸う人で、痰が多くて困ると訴える人がいます。
肺はタバコの煙から身体を守るために、一生懸命分泌液(痰)で煙を洗い流そうとしている。
患者さんは、「痰が多い!」と自分の身体に不満を持っている。
肺と、患者さんとの板挟み状態です。
結局、肺の味方をして「タバコ止めたら?」と言います。
宿主に嫌われても、痰を一生懸命出し続けている身体が愛おしい。

⑤ 結果に固執しすぎず、手放す発想も大切(引き算で得るもの)

(個人の経験に基づく考えです)

セルフケアを試しても改善しなかったり、改善が途中から止まったままで焦る時は、一度「まっ、いっか」と、症状への想いや、すべてのセルフケアを手放して、2週間ほど何もしないのもありです。

心の在り方でも書きましたが、結果(効果)を気にしすぎると、身体も心も硬くなって変化しづらくなります。一度手放して、身体と心の力を抜いてみましょう。

「止めたら悪くなるんじゃないか」と不安になると思いますが、ほとんどの場合それほど変わりません。悪化したらケアの効果が分かったので、再開すればいいだけのことです。

一度止めてみると、何もしない時の状態が再確認できますし、心身のリセットにもなります。

人間の身体には、想像以上の自然回復力があるので、リラックスして何もしない方が良い時もあります。
「押してダメなら、引いてみな」です(^^)

*余談2*
何をしても良くならない神経障害系の患者さんが、「もうあきらめた。先生、このままでもいいや」と結果を手放したとたん、症状が軽くなっていくことがあります。
何としてでも治そうとする強い力みが、変化を阻んでいたのかなと思います。

⑥ アンテナを立てておく

今はどんどん医学も技術も進歩しています。新たなセルフケア法が出る可能性は高いです。

健康に関するアンテナは立てておいて、「ビビビ!」と感じる情報は積極的にキャッチしましょう。

セルフケア法 一覧

入浴など身体の外側のケアだけでなく、内側も整える生活を毎日続けると、身体全体が安定し、安心感が高まります。健康のための習慣は、必ず幸せにつながりますので是非続けてくださいね。

今後もいろいろなセルフケアの記事を追加していく予定です。