ワクチン後遺症におけるセルフケア『各論5』

吉野 真人先生 

医師

蒲田よしのクリニック院長
ワクチン後遺症研究会 代表

前回までのコラムでは、新型コロナワクチン接種後の多彩な症状(ワクチン後遺症)の主要病態である血栓傾向、免疫異常、酸化ストレス、神経障害などを改善させるために重要な栄養素、豊富に含まれる食材、具体的な料理法などについて説明しました。
【バックナンバー】ワクチン後遺症におけるセルフケア参照
https://vmed.jp/5004/

今回のコラム「セルフケア各論5」では、日常的な食生活で陥りやすい盲点と、それを克服するための様々な工夫、それに日々の食卓をさらに豊かなものにする生活上の工夫について説明いたします。

先ず毎日の食事に欠かせない野菜に関してですが、加熱し過ぎるとビタミンCなどの栄養素が失われてしまうので注意が必要です。キャベツなど生で食べられる野菜はできるだけ生で食べ、ホウレンソウなど過熱が必要な野菜も調理は最小限にしましょう。

野菜類に関しては「農薬」の問題も避けて通れません。現代農法では農薬や化学肥料の多用により土壌汚染が進み、ビタミンや抗酸化成分が半世紀前に比べ激減しているのが現状です。できるだけ農薬や化学肥料の使用量が少ないオーガニックの野菜を選びましょう。

野菜の残留農薬は可能な限り除去したいものです。野菜に付着した農薬を完全に除去する事はできませんが、約50℃のお湯で1~2分ほど洗うと、ある程度の残留農薬を洗い流せるとされています。しなびかけていた古い野菜がシャキッとする効果もあります。

野菜と並んでビタミンや抗酸化成分、食物繊維の豊富な果物に関しては、実は野菜に比較して若干の注意が必要です。果物の種類によって差はありますが、大なり小なり果糖が含まれています。特に現代日本の農業では、果糖の多い甘い果物が多くなっています。

果糖の過剰摂取は脂肪合成が進み太りやすくなり、さらには血糖値の上昇を招きかねません。ビタミンや抗酸化成分、食物繊維が豊富という利点はありますが、特に甘みの強い果物の摂取は、食後のデザートまたは間食として少量を摂取するに留めましょう。

次に魚類については種類が多いため、それぞれの特徴を活かしてバランスよく選びたいものです。例えばEPAやDHA(ドコサヘキサエン酸)という脂質が豊富なイワシやアジなど青魚、タンパク質が豊富な鯛やヒラメなど白身の魚、といったバリエーションがあります。

魚ではEPAなどの魚油がとりわけ注目を集めますが、同時に良質なタンパク源でもあります。青魚ばかりに片寄らず、白身魚やエビ、タコ、貝類など様々な種類を食べるようにしましょう。お寿司に代表されるように、多彩な魚介類は日本料理の醍醐味でもあります。

一方で魚類の場合、水銀など有害重金属の存在も無視できません。海洋汚染により有機水銀が魚類の体内に蓄積しているためです。特にマグロやブリなど大型の魚に多量に含まれています。シラスや煮干など小型の魚も含め、バランスよく食べるようにしましょう。

続いて各種の肉はタンパク源として重要な食材ですが、飼育方法や与える飼料によって品質が大きく違ってきます。牛、豚、鶏によって差異はありますが、一言でいうと「より自然な環境で、より自然な飼料を食べて育った家畜」の肉を食べるようにしたいものです。

例えば鶏の場合、狭いケージに詰め込まれ、抗生物質やホルモン剤の入った餌で育てられた鶏ではなく、可能であれば広々とした庭や草地で自由に動き回り、自然で栄養豊富な餌を食べて健全に育った鶏、すなわち「平飼い」の鶏の肉や卵を食べるようにしましょう。

一方で牛の場合、現代畜産ではトウモロコシなどの穀物で育てられている場合が多く、霜降りに代表されるように脂肪分の多い肉質となっています。しかし牛は本来、草を食べる草食動物です。できれば牧草で育った「グラスフェッド」の牛肉を食べるようにしましょう。

魚と肉に共通する課題として、焼くことによる「コゲ」の問題があります。焼き魚や焼肉は香ばしい風味が魅力ですが、焼き過ぎによるコゲはアクリルアミドなどの発がん性物質を微量ながら含むため、日常的に焼き過ぎた魚や肉を食べる事は控えた方が無難です。

具体的な注意点としては、強火は避けて弱めの火でじっくり焼くこと、可能ならばガスではなく七輪などの炭火で焼くこと、肉の場合は厚めに切って表面積を小さくすること、などが挙げられます。そして煮る、蒸すなど、焼く以外の調理法も併用すると良いでしょう。

炒め物に使用する油に関しても注意が必要です。家庭や飲食店で広く使われている「サラダ油」は、オメガ6系油脂である大豆油、コーン油、綿実油など多くの油種を含んでいますが、摂り過ぎると炎症やアレルギー、動脈硬化などの増悪要因となるので要注意です。

炒め物でお勧めはオリーブオイル、とりわけエクストラバージンオリーブです。オリーブオイルは加熱に強く化学的に安定しており、酸化するリスクが比較的低い油種です。それと並んでバターやラードなど、飽和脂肪酸が豊富な動物性の油脂もお勧めです。

揚げ物はあまり推奨されない調理法ですが、新鮮なオリーブオイルを用いて比較的低温でじっくり揚げるのであれば比較的安全です。揚げ油の使い回しは過酸化脂質の産生を招きますので控えた方が無難です。ファストフードなどの揚げ物は可能な限り避けましょう。

一方で加熱せず生で使用する場合には、アマニ油やエゴマ油(シソ油)などオメガ3系油脂がお勧めです。これはオメガ6系と対照的に炎症やアレルギー、動脈硬化を抑制する働きがあります。もちろんエクストラバージンオリーブを生で使用しても構いません。

またオリーブオイルやアマニ油も含め、油脂の製造法にも注意が必要です。現代ではノルマルヘキサンなど有機溶剤を用いた工業的な製油法が主流ですが、可能ならば昔ながらの低温圧搾、すなわちコールドプレスにより作られた植物油を用いることが望まれます。

次に醤油や味噌など調味料にも配慮したいものです。最近は血圧への影響を考えてか、減塩の醤油や味噌が広く売られていますが、塩を減らす代わりに保存料など各種の添加物が多く含まれています。減塩と引き換えに添加物を多量に摂取するのは本末転倒です。

醤油や味噌は可能な限り、原材料の他に添加物の少ないものを選びましょう。つまり原材料として大豆、麦、米、塩だけで作られた昔ながらの醤油や味噌が理想的ですが、できるだけそれに近いものが望まれます。自然な製法の醤油や味噌は、とても風味が豊かです。

それと並んで塩の選択も重要です。広く出回っている精製塩は海水を電気分解して作られたもので、塩化ナトリウムの純度がとても高く、血圧が上がりやすいので注意が必要です。可能であれば精製塩よりも、海塩や岩塩などの天然塩を使用するようにしたいものです。

海塩や岩塩は海域や地域により差はありますが、総じて塩化ナトリウム以外の各種ミネラルが豊富です。そのため味わいに深みがあり、産地による微妙な違いさえ感じられます。使用する量にもよりますが、精製塩に比べて血圧はさほど上がらない傾向があります。

砂糖はどうでしょうか。肥満や血糖値上昇の引き金になるため砂糖は要注意の調味料ですが、少量に留めるという前提で、ショ糖の精製度が高い精白糖よりも、ショ糖以外の成分も多い黒砂糖や、米麹などから作られた本みりんを用いることが望まれます。

料理に適度なアクセントを添える意味で、各種のスパイスや薬味を活用するのも良いでしょう。料理の種類により唐辛子、コショウ、山椒、辛子、ワサビ、ショウガ、ニンニクなどを程よく用いると、味わいが増すだけでなく、塩分や砂糖などの量を減らすことも可能です。

それと並んで「だし汁」も活用しましょう。例えば和食の場合は昆布や鰹節、イリコ(煮干)などのダシが主体となります。ダシをしっかりとることにより、料理の味にぐっと幅が出るのはもちろん、塩や醤油、味噌などの調味料を少なくすることも可能となります。

次に「主食」についてですが、パンや各種麺類などの小麦製品はグルテンタンパクに対する遅発型アレルギー反応が懸念されるため、できるだけ控えた方が無難です。糖質過多による血糖の変動も要注意です。米によるご飯を主体とし、小麦製品は最低限にしましょう。

パンを食べるのであれば、比較的グルテン含有量の少ないライ麦パンなどが良いでしょう。ズシリと思い独特の食感ですが、ミネラルなどの栄養素が豊富です。麺類であれば、小麦粉が入っていない十割蕎麦、または小麦粉含有量の少ない八割蕎麦が最もお勧めです。

主食は何といっても米(ご飯)ですが、やはり糖質過多による血糖の変動は要注意です。肉や魚、野菜などの副食(おかず)に力を入れ、ご飯の量は控え目にしましょう。栄養面を考えると、糠や胚芽を除去した白米よりも、それらを温存した玄米の方が望まれます。

ただし玄米は固いため炊き方に工夫が必要です。水を1割程度多くし、炊く時間も少し長めにします。玄米のヌカ臭さが気になる場合は分づき米や胚芽米にすると良いでしょう。最近では外側のロウ層のみ除去し炊きやすくした「ロウカット玄米」も出回っています。

最後に「間食」についてお話します。広く普及している間食(おやつ)は、クッキーやケーキ、煎餅、各種スナック菓子など小麦粉や砂糖、米粉、植物油脂、各種添加物を多量に含んだ加工食品であり、血糖変動や健康への影響を考えると、可能な限り控えた方が無難です。

一方で間食として安全に食べられる食品は少数ながら存在します。その一つはナッツ類です。アーモンドやカシューナッツ、クルミ等のナッツ類は糖質がほぼゼロのため血糖変動の心配がなく、ビタミンやミネラルなどの栄養素も豊富です。健康的なおやつといえます。

もう一つの健康的なおやつは小魚です。地域によりイリコや煮干と呼ばれていますが、多くはカタクチイワシ、あるいはウルメイワシなどが用いられています。タンパク質やカルシウム、EPAやDHAなどの栄養素が豊富で、もちろん糖質はほぼゼロの健康食品です。(ニュースレターVol.41より)

ワクチン後遺症研究会
代表 吉野 真人


うつゼロドットコム~うつと栄養素の関係についてお伝えする吉野先生の動画https://www.youtube.com/@user-qt3ll4qk7i/featured