症例 19 40歳 女性 便秘、食後の腹痛と下痢、(再接種後)倦怠感、味覚障害、関節痛、気力低下、睡眠障害、記憶力低下

【症例】 40歳代 女性 

【主訴】 下痢と便秘、食後の腹痛(下痢の時が多い)、月経前頭痛(以前から)

【ワクチン接種歴】 コロナワクチン4回接種済み 

【治療経過】
・X年4月初診
内視鏡検査で上下部消化管とも異常なし。H.P(ピロリ菌)検査は抗体、尿素呼気試験とも陰性。
血液検査で鉄、フェリチン低値あり。BUN(尿素窒素)低値(10以下)でタンパク不足あり。

→月経前頭痛、過敏性腸症候群に対して川芎茶調散、呉茱萸湯の頓服、腹痛に人参湯と桂枝加芍薬湯、低タンパクに対してESポリタミン(保険薬)を開始。

・1か月後 
頭痛軽減、下痢はなくなった。漢方薬を服用しないと腹痛あり。
冷えに伴う頭痛にMg(マグネシウム)入浴(エプソムソルト;サプリ)を勧めた。
その後、頭痛薬(ロキソプロフェンなど)、腹痛のブスコパン頓服も不要となり経過良好。

・X年7月
コロナ感染。感染後も後鼻漏の症状、咳が残る、易疲労感あり。
→竹茹温胆湯、補中益気湯で一か月後には軽快。
プロテインも飲用も開始。ESポリタミン継続。Mg入浴を継続し頭痛の漢方薬も不要になった。
ビオスリー(保険薬)で腹痛、下痢に対する漢方薬も不要になった。

・X年8月を最後に通院なし

【再受診】
・X+1年5月
約7カ月ぶりの再診
X年11月コロナワクチン4回目接種後より強い倦怠感が続き来院できず、仕事も休職中。
寝起きに幻覚あり。怖いものが見える。

味覚障害、倦怠感あり。浮腫み、食欲低下で一日一食しか食べられないのに体重増加(+4kg)あり。
関節痛(朝のこわばり)もあり。気力低下、睡眠障害、記憶力低下などブレインフォグの様な状態が続いていた。
→採血で軽度の甲状腺機能低下を認め、チラージンS25μg内服追加、全身倦怠感、食欲低下などにタチオン200mg点滴(保険)、人参湯、補中益気湯、頭痛に呉茱萸湯、五苓散を頓服。

ビオスリー、ESポリタミン(保険薬)内服を再開。
倦怠感にタウリン散98%3.06g内服(保険薬)を追加。
ブレインフォグの様な症状にフェルガード100M(フェルラ酸サプリ)を開始。

・一か月後、徐々に症状改善あり。プロテイン(サプリ)も少量ずつ飲用

・X+1年8月 
慢性疲労も少しずつ良くなっているが、更にL-カルニチンをエルカルチンFF錠(保険薬)1500mgで追加。時に浮腫む。幻覚はなくなり、ブレインフォグも徐々に軽快。

・X+1年9月
体調は全て回復傾向にあり。来月から仕事に復帰予定。血液検査で甲状腺機能低下の改善、
鉄、タンパク不足はあるが、初診時よりは改善。
自分で鉄サプリ、亜鉛、ナイアシンアミド、NAC(N+アセチルシステイン)などのサプリを継続中。

・X+1年11月
10月から軽めの事務仕事から仕事に復帰。天候により頭痛は五苓散を適宜内服で対処出来ている。
処方薬〜ESポリタミン6g、チラージンS25μg、タウリン散98%3.06g、補中益気湯2.5g1包のみで
L-カルニチンは上記サプリと併せて服用。
元々ある体質(血虚)の改善に当帰芍薬散を追加。

【医師より】
まとめ;
元々、鉄、タンパク不足のある女性。コロナワクチン3回接種済でコロナ感染後、咳や倦怠感が遷延した。回復後にコロナワクチン4回目を接種し、強い倦怠感、食欲低下、いわゆるブレインフォグなどの後遺症(ワクチン接種後症候群)による症状が出現して休職を余儀なくされた。

軽度の甲状腺機能低下症も認められたため、チラージン内服、慢性疲労の状態改善に対して、漢方薬(保険エキス製剤)の他にタチオン(グルタチオン)点滴を保険診療の範囲内で行い、タウリン、エルカルチン(L-カルニチン)の処方薬を併用した。

本人と相談の上、可能な範囲でサプリも追加併用し、徐々に改善した。
まだ完全な状態までは回復していないが、復職出来る程度まで回復した。
尚、コロナ感染後、回復してから間もなく4回目のコロナワクチン接種により体調不調をきたしたにもかかわらず、ご本人は当初、コロナ(感染後)後遺症と思い、いわゆるワクチン後遺症との認識が乏しかった。

考察;
コロナワクチン接種後の体調不良は個々に千差万別であるが、元々、タンパク不足と軽度の鉄不足があった女性に強い倦怠感などの症状に対して、ミトコンドリア機能不全を推定して保険薬を基本にサプリメンも併用して改善を図った。漢方薬は保険適応エキス製剤を使用。鉄不足は軽度であったため、サプリで継続。タンパク不足は保険薬のESポリタミンにプロテインサプリを少量から併用した。(重度の鉄不足、貧血があれば保険薬で使用)

タチオン(グルタチオン)も保険薬で内服処方可能であるが、既に本人がNAC(N―アセチルシステイン)のサプリを服用していたので経口サプリで継続した。グルタチオン点滴は保険の範囲内(200mg)で月1-2回行った。
当然のことながら、個々の症状、個人の体質に応じて対応する事が必要となる。

尚、保険薬に対しては各々、保険適応病名での使用が必要である。
血液検査などで器質的な異常をチェックする必要がある(このケースでは軽度の甲状腺機能低下症を認めた。血栓マーカー(D-ダイマー)や各種の自己抗体は陰性であった)
その上で、栄養学的な視点で血液分析を行い、必要な栄養療法によるアプローチも有用であると考えられた。